病気になることでゆっくりと休むことが出来る。
鬱病にならなければ、人はストレスで死んでしまうのかもしれません。
病気になることで、貴方には休養が必要だ、と自分の身体が教えてくれます。
中二病になることで、別の人格であるということを周囲に認知してもらう。
こうありたい、という自分を演じること、そして自分の中で創造した世界の
設定に応じて演じる。あいつはああいう「キャラ」だからという言葉を口にしたことが
ある人は多いと思います、その「キャラ」をどう演じるか?
それが中二病に繋がっている気がしますよ。
この物語のテーマであるアイデンティティの確立とは?
自己同一性と日本語で言われますが、確か心理学者のエリクソンの言葉だったと思います。
自分とは何者なのか?どう生きるべきなのか?それがアイデンティティの意味で
その問いに答える猶予期間がモラトリアム(中高生?)という期間だと思います。
誰もが自分は特別な存在であると思いたい。
しかし、現実は殆どの人間はそんな事も無く平凡な力しか持ち合わせていない。
現実を変える力を持つ人間は少ない、
しかし、現実とは自分がどう感じるかどう受け止めるかで180度違うものになると思います。
ヘッドライトの光、船が灯す光、と見るのか、父親がいる世界と繋ぐ境界線と見るのか
現実なんてこんなもの、と諦めてしまってはその境界線は永遠に目の前には訪れないでしょう。
現実に抗い、見方を変えるだけでこんなにも素晴らしい世界が身の回りには満ち溢れている。
そんなことをこの物語は教えてくれました。
本来の自分を隠し、中二病という衣装で変装し別の人格を演じていた六花が
勇太に恋をして勇太を通して別の視点を手に入れました。
中二病の姿に戻りありのままの自分を勇太に認めてもらうという流れは素晴らしい。
自分の生きたい自然の姿になって六花は勇太の前に戻ってきました。
その成長の過程を丁寧に描き切ってくれました。
当初、この作品は痛々しい言動の可愛らしい六花がドタバタ劇を演じることに終始して
いくのかな?と思っていましたが、途中 一転して強いテーマ性を提示してきました。
最初の雰囲気が気に入っていた視聴者は戸惑ったと思います。
私もその中の一人です、あれ?なんだか急に重い話になってきたぞ、と違和感を覚えました。
しかし、それも最終話まで観てみると話数が決まっている中では仕方が無い事で
良くぞ、ここまで綺麗にまとめてくれたものだと感嘆してしまいます。
今期スタートの作品では、唯一毎週の放送を心待ちにしていた作品となりました。
当初の期待以上の出来栄えに心から満足しております。
この素晴らしい作品を我々に提示してくれた制作者さんの力量には驚かされますね。
今まで本当にありがとうございました、素敵な視聴時間を持つことが出来て幸せでした。
この作品に出会えて良かったです!
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